精神科・心療内科

精神科・心療内科のご案内

精神科・心療内科のご案内情報化社会となった現代でも、人間関係の難しさはなくなりません。むしろSNSの発達などにより、複雑化している面もあります。また「多様性」を尊重する声が増えてくる一方で、誰もが生きやすい環境が十分に整っているとは言えない現状があります。誰もが大なり小なりの悩みを抱え、不安になったり、イライラしたりすることがあります。
その中で、精神が不安定になったり偏ったりする心の症状、ストレスが原因と思われる身体の症状が2週間以上続く場合には、何らかの心の病気や障害が原因になっている可能性がありますので、当院の精神科・心療内科の受診をおすすめします。
内科などで身体の状態を診てもらったけれど原因が分からないという場合も、お気軽にご相談ください。

精神科と心療内科の違い

「精神科」は、心の症状・病気を専門とし、その病気自体の治療を行います。うつ病や統合失調症、パニック障害、強迫性障害、PTSDなどを取り扱います。何らかの心の症状が現れている場合に受診する診療科です。
一方の「心療内科」では、さまざまなストレスを原因として身体に現れる症状を専門に取り扱います。吐き気や頭痛、動悸、腹痛、下痢、不眠などの身体の症状があり、その原因がストレスにあると思われる場合に受診する診療科と言えます。
ただ、このような説明を踏まえても、患者様がどちらか1つを選ぶのは簡単ではありません。「どちらにも当てはまる」「自分では判断がつかない」というケースが多いためです。迷った時は、基本的にどちらを受診しても構いません。また近年は、当院のように精神科・心療内科の両方に対応するクリニックも増えてきました。

このようなお悩みは
ございませんか

心の症状・お悩み

  • 気分が沈んでいる
  • 意欲、関心が湧かない
  • 強い不安感が続く
  • 人に会いたくない、外に出たくない
  • 人がこわい、外出がこわい
  • 職場や学校に行けない・行くのがひどく辛い
  • 以前好きだったもの・ことに興味が持てない(食事・趣味など)
  • 遊んでいても楽しくない
  • 常にイライラするが、原因が分からない
  • 電車などの乗り物に乗るとパニックを起こす
  • 自分なんて…と考えてしまう
  • 消えたい、死にたいと思う

身体の症状・お悩み

  • 胃の痛み、不快感
  • 吐き気、嘔吐
  • 動悸、動悸、過呼吸
  • 急に胸が苦しくなる、締め付けられる
  • 頭痛
  • 腹痛、下痢
  • 高血圧
  • 原因の分からない肩こり、首のこり
  • 火照り
  • 異常な量の汗

睡眠に関する症状・お悩み

  • なかなか寝付けない
  • 夜中に何度も目が覚める
  • 睡眠が浅い、疲れが取れない
  • 朝、異様に早く起きてしまい、その後寝付けない
  • 日中にひどい眠気がある
  • 寝過ぎてしまう
  • 夜中に大声をあげる

現実的でない
不思議な感覚・症状

  • 誰かに監視や盗聴をされている気がする
  • 誰もいないのに声がする
  • そこにいるはずのない人が見える
  • 悪口が聞こえる、悪口を言われている気がする
  • 家族などまわりの人が自分に嫌がらせをしている気がする
  • 自分が大きな事件を起こしたという思い込み、またそのニュースを探す
  • 施錠したはずなのに施錠していないという強い不安があり、何度も確認する・何度も帰宅する
  • 手や身体などが汚れているという強い不安があり、繰り返し洗ってしまう

物忘れに関する症状・お悩み
(ご本人様・ご家族様)

  • よく物を失くす
  • 何度も同じことを話したり、質問したりする
  • 家族や友人の話についていけない
  • 物事を段取り良く進められない、2つのことを同時にできない
  • 約束をよく忘れ、指摘されても思い出せない
  • 親しい人の顔や名前が出てこないことがよくある
  • 季節、日時、自分のいる場所などが分からなくなる
  • よく迷子になる、夜中に歩き回る
  • 攻撃的になるなど、以前では考えられない性格の傾向が見られる

精神的不調の要因

精神的不調の要因うつや不安などの様々な精神症状は、ストレスなどに対する心の自然な反応や感情(心の不調)によるものの他に、脳の神経物質がバランスを崩すこと(脳の不調)によるものがあります。
心の自然な反応や感情に対しては当然薬は効かず、カウンセリングが有効な一方、脳の不調からくる精神症状に対しては、身体の病気と同様にカウンセリングは効果的ではなく薬物療法が有効です。

脳の不調

脳の不調からくる精神症状は、内臓の病気と同じで、脳(という内臓)の不調によるものであり、考え方や気の持ちようの問題ではないため、気合いや意志などでは決して治せません。また本人の性格の問題でもありません。今精神的にしんどいと感じるのは心の不調からではなく、実は脳の不調から来ている可能性があるのです。一見心の不調のように見えても、それは脳の不調に対して心が反応して辛く感じているだけなのです。ストレスなどの理由があって落ち込む心の反応や感情とは異なり、脳の神経物質がバランスを崩した結果、落ち込みやすい、不安を感じやすいような心の状態を来しているのです。その場合は、心にアプローチしても根本的に治すことは難しく、不調の元となっている脳にアプローチする薬物療法を行うことで症状が改善します。
身体の病気で例えて言えば、糖尿病の人が、血糖値が上がり過ぎて、体がしんどいと言っているその辛さに対して、何時間もかけてどんなに熱心に共感的に接したとしても、血糖値を上げる薬を投与しない限り一向に良くならないことと同じです。それどころか、何時間もしんどさを傾聴している間に、必要な治療が施されず放っておかれることによって、症状がより悪化し、合併症を併発したり、時には命に関わる状況に進展する可能性もあります。脳の不調からくる精神疾患もこれと同様なのです。
いかに、早期に適切な治療が開始されるかどうかによって、患者様の今後のメンタルヘルス、生活の質の改善や向上が大きく左右されます。
精神的不調は目に見えないため、何によってどこが不調になっているのか、本人にも周りの家族などからも分かりづらく、本人のやる気のせい、性格のせいだと捉えられがちです。そのことがさらに本人を苦しめることに繋がっていってしまいます。
患者さんの苦しみは果たして、本人の性格によるものか、あるいは本人の努力や意志、やる気の問題なのでしょうか?薬物治療が有効な脳の不調から来ている可能性も視点の一つに是非入れていただきたいと思います。

心の不調

脳の不調からくる精神症状は薬物療法が有効ですが、ストレスに対する心の反応からくる心の不調によるものは、ストレスから離れたり緩和させるなどの環境調整と、心にアプローチする心理療法(カウンセリング)が有効になってきます。
心の不調を扱うには、まず、ストレスの原因を詳しく聞く必要があります。その背景には、患者様の生育環境、現在の家族関係や生活状況、ご本人の性格傾向や発達特性、ストレスへの受け止め方や、その対応の仕方について、対人関係の持ち方など、多くの要素が関わっています。それらを踏まえた上で、患者様の中から湧き起こってくる気持ちに寄り添いつつ、十分な傾聴を行い、話をまとめ、対処法について話し合うためには、十分な時間が必要となってきます。5分超程度の限られた医師の診察のみでは十分には取り扱えないため、十分な傾聴やアドバイスを求められる場合は、心理師によるカウンセリングを利用していただくことをお勧めします。

当院の薬物療法

当院の薬物療法薬物療法は、ノルアドレナリン、ドーパミン、セロトニンなどの神経物質のバランスを整えることで、うつ、不安、気分の波、その他の精神症状を改善し、健康なメンタルを取り戻す助けをしてくれます。またそのような治療薬は依存性がありません。(即効性のある抗不安薬や睡眠導入剤の多くについては依存性が認められています。そのため当クリニックでは処方を極力避けております)。
薬物療法を行う際、副作用には細心の注意を払います。まずは少量から投与を開始し、副作用の有無について慎重に確認しながら、3、4回程度の調整で効果量へと増量していきます。その後徐々に効果が現れてきます。早い人だと2週間程度で効果が実感出来ます。だいたいその量で、1ヶ月ほどで効果判定を行い、適宜、維持投与を継続するか、薬剤を変更したり、増量するかを判断いたします。
※当クリニックでは、薬の投与前、投与後定期的に血液検査、心電図検査を実施します。特に血液検査については、甲状腺ホルモン、貧血、血糖値(HbA1c含む)、使用薬剤の血中濃度など、精神疾患をもたらしうる身体の病気や薬の使用に際し注意が必要な検査もあり、他院ですでに検査を受けられている場合も原則実施させていただきます。

薬物療法の
副作用について

薬理作用的に投与後、増量後2週間程は眠気、嘔気、手の震えなどの副作用が出ることがあります。可能であれば内服を継続してください。軽い副作用なら時間とともに軽減、消失することがほとんどです。強い副作用が出た場合は薬を切り替えます。元の精神状態に戻った後、すぐに内服量を減らすか中止すると、症状が再発するリスクがあります。現在のガイドラインでは、うつ病の場合、初回のエピソードであれば、元の状態に戻られてから更に6ヶ月から1年程度の維持投与を行い、安定が持続していれば減量や中止を検討します。

症状の再発予防として

治療終結や再発予防の条件は、全ての症状を治しきり、一定期間安定を保つことです。これには、適切な用量での薬物投与が不可欠です。症状が少しでも残っていたり、状態が変動する場合は、さらなる薬物調整(増量や他の薬剤の併用)が必要です。症状が少しでもくすぶった状態のまま放っておくと、症状が長引いたり、再発しやすくなってしまいます。時間とともに、記憶力、集中力などの認知機能(脳の働き)が低下し、一部には元の脳の働きに回復できなくなるなどの恐れも出てきます。ですから、発症当初、できれば発症する前の前駆期から、適切な薬物療法を開始し、症状を完全に治療し、安定した状態を維持することが、今後の人生のメンタルヘルスを左右する鍵となります。

成人期以降の精神疾患への
早期介入の重要性 

仕事のストレス、転居、進学、結婚などによる生活環境の変化、生理前後、閉経などのホルモンの変動、妊娠や出産の影響、加齢による脳機能の低下など、さまざまな状況や年代によって起こりやすい精神疾患や、発達障害による適応不全が存在します。これらが重症化、複雑化してしまう前に早期に治療的介入を行うことは非常に重要です。 
身体の病気も軽症のうちに治療を始めれば比較的短期間で良くなり、中には完治する場合があります。また、薬による治療を行わなくても、食事療法、生活習慣の見直し、ストレスの軽減、十分な休息や睡眠などにより回復できる場合もあります。 
精神疾患も同様に、早めに治療的介入を開始することで、薬による治療を行わなくても生活習慣の改善やストレス対処などにより良くなることがあります。もしも薬による治療が必要であったとしても、比較的短期間で回復できる可能性が高まります。実際に、過去の患者様で、症状が起こり始めた時に受診され、早期に介入できたことで、薬物療法に頼らずに良くなり、治療が終結した方や、薬物療法が必要な場合でも、早期のうちから適切な薬物療法を行なったことで、より回復が早まり、そのおかげで治療が終結できた方を少なからず経験してきました。 
これとは逆に、もしも精神疾患への介入が遅れ、必要な治療が施されないままで放っておかれるとどうなるでしょう。これについてもやはり身体の病気と同じ経過を辿ります。 
まず、身体の病気である糖尿病を例に挙げて説明をさせていただきます。糖尿病を治療せず放っておくと、その重症化に加えて、網膜症や神経障害、循環不全などを来し不可逆的な合併症を引き起こす危険が高まっていきます。また高血糖からくる ケトアシドーシスなどから命に関わるリスクが高まります。
これと同様に、精神疾患を治療せずに放っておくことで、症状の重症化や複雑化、他の精神疾患の併発、認知機能(注意力、記憶力、判断能力など)の低下をもたらすリスクが上がっていきます。脳機能の不可逆的な変化をきたしてしまうこともあります。さらには、薬物療法の効果が得られにくくなっていき、症状の遷延化や、また治療で一旦良くなったとしても再発しやすくなる傾向が高まっていきます。本人の仕事や学業などへの支障も大きくなり、本人を取り巻く家族などとの人間関係の悪化やこじれにも繋がりかねません。希死念慮が高まり自殺のリスクが切迫するようになると、まさに命に関わる事態に陥りかねません。早期の治療的介入によりこれらのさまざまなリスクを最小限に抑えることが可能になるのです。 
上記の観点から、精神疾患を発症したなるべく早期から、できれば発症する前の段階から、いかに迅速に介入し、重症化や複雑化を防ぐのか、そこに重点を置くために、老若男女問わず、少しでも多くの方々が軽症のうちから当クリニックに受診できるように、より一層の努力と工夫を行なってまいりたいと思っております。