児童思春期外来

児童思春期外来について

児童思春期外来について児童思春期外来では、おおよそ6歳~18歳くらいの児童期・思春期の子どもを診療します。
この年代の子どもの多くは、大人と比べて小さな社会の中で生きています。あるコミュニティで適応できない場合にも逃げ場が限定的で、時に非常に強いストレスにさらされ、適応障害などを発症してしまうことがあります。
学校に行けない、登校前の体調不良、引きこもり、落ち着きがない・不注意、ゲームへの依存、睡眠障害、情緒不安定、学校での交友関係や家族関係の問題、家庭内暴力、自傷行為など、お子様の気になる症状・問題行動がございましたら、お気軽に当院にご相談ください。
適応障害だけでなく、発達障害、摂食障害、社会不安障害、トゥレット症候群を含むチック症まで、幅広く対応しております。
親子での受診が難しい場合には、保護者様のみのご相談も承っております。

当院で最も大切にしている
考え方

児童思春期診療においては、表面上に現れる精神症状や行動は、何らかのお困りごとの表れと捉えることができます。
当院では、それらの背景にある子どもたちの一人一人の事情や背景に介入することで、お困りごとや症状の改善を目指していきます。
また、症状や行動の改善だけでなく、成長という視点を持つことも不可欠になります。
当院では、治療を通じて、自制心や自立心を育み、自分らしさを獲得し、社会の中に羽ばたいていける大人になれるようサポートいたします。

お子様と保護者のこころのケアの役割分担について

お子様と保護者のこころのケアの役割分担について診察につきましては、お子様自身の受診を必須とさせていただいております。
診療は、お子さん自身が困っていることを解決していくことが前提で、治療はあくまでも本人を主体とするものとなります。本人が自分自身の困り感として受診することは、治療の導入や効果、継続性にとって非常に大切な要素となります。

お子様ご本人の困り感と親御さんの困り感が必ずしも一致するとは限りません。むしろ一致しないことの方が多いものです。また、患者様の心に寄り添う精神療法を行うにあたり、1人の治療者がお子様ご本人と親御さん双方の立場を常に優先させることが難しいという状況がどうしても起こりえます。またお互いの守秘義務の問題、お子様のいないところで親御さんと医師が本人に隠し事をすることなども後々問題になっていきます。その結果、信頼関係、治療関係が壊れてしまうことに繋がってしまいます。

これらの事情から、たとえばお子様側に立った診療を医師が行う場合は、親御さんにはカウンセリングを受けていただくことで心理師が親御さんの立場をサポートする役割を引き受けるなどの工夫が必要となってきます。そのような役割分担があってはじめて治療が前に進み、問題がより解決しやすくなっていくことをご理解いただけると幸いです。

親御さんのこころのケアについて

お子様の児童思春期外来の受診を検討されている親御さんが、育児の中で精神的に強い負荷がかかり悩んでいるにも関わらず相談先が無いという声を非常に多く耳にします。親御さんのこころのケアは、お子様の治療や成長にとって欠かせないものだと考えております。

親御さんの困り感を相談するための養育相談としてカウンセリングを受けられる場合は、親御さん自身のカルテの作成が必要となってきます。カウンセリングの導入をスムーズに進みやすくするため、当クリニックでは、児童精神科外来を受診されるお子さんの初診時に付き添いの保護者の方もカルテを作成させていただいております。

ただし、たとえばお子様が高校生で、お子様のことで親御さんからの相談はないなどの場合は、初診時に親御さんのカルテは作成致しますが、2回目の受診以降(再診)はお子様だけの受診で問題ありません。

初診時の予約はお子様のみで、診察時に保護者の方のカルテも作成させていただきますので親御さんのご予約は不要です。ただし、お子様のこととは全く関係なく、親御さん自身の問題で受診を希望される場合は、改めて予約枠の確保が必要になるため、お子様の診察時に申し出てて下さればご対応させて頂きます。

若年層に多い精神疾患
について

うつ病、不安障害などの精神疾患は、若年発症ゆえに、他の身体疾患と比べ、その人の残りの人生の生活への支障が大きくなってしまいます。思春期から成人期早期の最も大切な時期に、最も大きな影響を及ぼすという結果が示されています。なんとしてでも、精神疾患の重症化、慢性化、できれば発病自体を最小限に食い止められるよう、医療的介入などの対策が講じられるべきだと考えます。
精神疾患の発症は、10代後半から20代前半が最も多いといわれています。早ければ小学校高学年頃からなんらかの徴候が見られ始めます。あくまで海外での報告になりますが、精神疾患が発症する方がその精神疾患に罹患する割合は、15歳までに約50%、25歳までに約75%という調査結果が示されています。
発症早期に介入するには中学生年代,できれば小学校高学年から必要となってくるということになります。

若年期の精神疾患への
早期介入の重要性

膵臓が不調になれば糖尿病が発症する、心臓が不調になれば心不全や心筋梗塞が起こる、といったように、内臓が不調になると病気が引き起こされます。脳も身体の臓器の一つであり、同様に不調を引き起こす可能性があります。内臓疾患は主に中年以降から増えていきますが、脳の不調からくる精神疾患は(認知症を除く)10代から増え始めます。その点が他の身体疾患と異なる点です。また血液検査をしたり画像検査等をして客観的に分かるものではないため、本当に不調になっているのか分かりづらいところも大きく異なります。
こんなに若いのに薬が必要なのか、思われるでしょうが、若い時期に精神疾患が出現しやすいからこそ、早々の薬物療法の開始が重要になってくるということです。

多感な思春期に
隠れる精神疾患

ここで誤解がないよう説明させていただきます。思春期は多感な時期で、対人関係や家族関係、将来の進路のことなど様々な心配や不安が渦巻く時期でもあります。そのような悩みや葛藤(心の不調)は当然、すべてが薬で解決できるようなものではありません。
しかし、その一部には脳の不調が紛れ込んでいる場合もあります。それをいかに早く見つけ出し、早期の治療的介入(全てが薬とは限らない)を行えるかどうかが、早期の回復や、時に精神疾患への移行を防ぐことに繋がってきます。これは10代、20代に限ったことではありません。仕事のストレス、転居や結婚などによる生活の変化、生理前後など、ホルモンバランスの影響、妊娠や出産による影響、年齢とともに物忘れが目立つようになること、子どもの言葉や情緒の成長の遅れや偏り、こだわりや多動が目立つ低学年の時期など、さまざまな状況や年代で起こりやすい精神疾患や発達障害が存在します。これらについてもやはり重症化、複雑化する前の早期介入が非常に重要になってきます。

若年期は回復しやすく
悪化を防ぎやすい

特に児童思春期のお子様については、早期に介入することが可能であり、成長によって精神疾患から回復しやすかったり、精神疾患への移行を防げる場合もあります。成長には時間がかかるため、治療に期間を要することもありましたが、諦めず粘り強く関わることによって、次第に症状が落ち着き、治療が成功することが多いです。早期介入はもちろんのこと、諦めないこと、粘り強く関わることの重要性を日々痛感している毎日です。
この観点から、早期に介入し、重症化や複雑化を防ぐことに重点を置き、年齢や性別を問わず、できるだけ多くの人々が軽症の段階で当クリニックを受診できるよう、より一層の努力と工夫を行なってまいりたいと思っております。

児童思春期外来における
課題と取り組み

現在、日本国内では、児童精神科の初診予約後、実際の初診までの平均の待ち期間は約8ヶ月と言われています。発達障害や、精神疾患を抱える子どもが受診できる病院やクリニックがまだまだ少ないため、受診の予約が取れない、取れても半年以上あるいは数年先であるという厳しい状況になっています。長期間待っている間に、今ある問題の複雑化、発達障害のある子どもの心の傷つき体験、精神疾患の重症化や慢性化をもたらすリスクが高まってしまいます。

当院の取り組み

当クリニックでは、複雑化や重症化に至る前に受診し、早期に介入できるようにするため、なるべく受診の待ちを最小限にできるよう尽力していきたいと思っております。患者様や親御さんにもご家族の皆様には、何かとご協力いただく場面もあるかもしれませんが、上記のことを鑑みご理解頂けると幸いです。

当院で出来ること・
できないこと

当院で出来ること・できないこと前勤務先では、診察の際には親御さん以外にも学校関係や児童相談所などの行政関係の職員が同席し、カンファレンスのように話し合いを行う形での診察を行うことが多々ありました。それは、困難を強く感じ、他職種間での丁寧な支援が必要な子どもの受診が多かったためです。一方、当クリニックでは軽症の段階から早期介入する方針を取っており、また保険診療上の都合から診察時間が5分強から10分程度と限られています。そのため、診察場面では医療に特化した話題に集中せざるを得ません。
その一方で、一定の水準を保った医療を提供したいと思っております。そのためには、相談は事前に紙などにまとめておいていただいたり、話題が多い場合は通院間隔を短くして複数回に分けて話をしていただくなど、患者様や同席の方々にご協力頂く必要が出てくるかもしれません。また、適宜カウンセリングやワーカーとの面談、訪問看護の利用等を勧めさせてもらうことがあることもご承知ください。

児童思春期外来の
対象となる症状・病気

  • 引きこもり、不登校
  • 登校前の体調不良
  • 落ち着きがない、不注意
  • ゲームがやめられず、生活習慣に支障が出ている
  • 夜眠れず、朝起きられない
  • 情緒が不安定、すぐカッとなる
  • 学校での交友関係に不安がある
  • 家族間の関係に悩みがある
  • 家庭内暴力
  • 自傷行為をしてしまう(リストカットなど)

診療する疾患

発達障害

生まれつきの脳機能の障害を原因として、社会生活に困難が生じる障害の総称です。対人関係やコミュニケーションの困難などを伴う「自閉スペクトラム症」、読み・書き・算数など特定の領域において困難が生じる「限局性学習症」、不注意・多動性・衝動性が見られる「注意欠如多動症」などがあります。

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適応障害

主にストレスを原因として起こる、心理的な不調です。不安、憂うつ、イライラ、怒りっぽい、思考力・集中力の低下、睡眠障害、食欲不振などの症状を伴い、引きこもりや不登校の原因になるケースが少なくありません。子どもも大人と同じくらいの、時に大人よりも重いストレスを抱えるということを、私たち大人は知っておかなければなりません。

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摂食障害

何らかの原因によって、通常の食事ができなくなってしまう病気です。痩せたいという強いこだわりから生じることもあれば、ストレスからの回避のために生じることもあります。身体の発育、健康にも影響する問題ですので、これまでのような食事が摂れなくなった時にはお早めにご相談ください。

社会不安障害

人前で話すこと、人の注目を浴びることがひどく恥ずかしい、ひどくこわいと感じる病気です。照れる・緊張するというレベルでなく、苦痛を感じ、パニック発作を起こしてしまうこともあります。過去の恥ずかしい経験が原因となっているケース、自己肯定感の低さが原因になっているケースなどがあります。

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チック症

本人が意図せず、突然出てしまう素早く特徴的な音声・身体の動きを、“くせ”のように繰り返してしまう状態です。「アッ」「オッ」などの意味のない言葉、卑猥・挑発的な言葉を発する音声チックと、瞬き、白目をむく、鼻をヒクヒクさせる、口を曲げる、首をすくめる、手足を動かすなどの運動チックに分けられます。

トゥレット症候群

生理的作用・他の疾患を原因とせずに18歳前後で発症し、1つ以上の音声チックと複数の運動チックが1年以上続いているものをトゥレット症候群と呼びます。はっきりとした原因は分かっていませんが、遺伝的要因が関与しているとの指摘があります。なお、本人の性格、育て方、家庭環境が発症に影響することはありません。

分離不安障害

愛着のある人(主に親)、場所(主に自宅)から離れることに、強い不安を覚える障害です。愛着のある人・場所から離れる時、誰でも「寂しい」という感情を持ちますが、分離不安障害の場合はその程度が甚だしく、不登校や引きこもりの原因にもなります。保護者様は「甘え」と決めつけないことが大切です。

緘黙症

家庭以外の特定の場所(子どもの場合は学校など)で言葉を話せなくなってしまう状態です。ほとんどの場合家庭では問題なく話せるという特徴を持ちます。「人見知り」と決めつけないように注意が必要です。

思春期外来で行う検査

問診にて症状やお悩み、生活状況などをお伺いした上で、必要に応じて、以下のような検査を行います。

人格検査:
バウムテスト、
ロールシャッハテスト
など

お子様の現在の心の状態を客観的に捉えることを目的とした検査です。
絵を描いてもらうもの、文章を書いてもらうもの、質問に答えてもらうものなど、いくつかの種類があります。

知能検査:
WISC-V、WAIS-Ⅳ
など

お子様の知的能力を測定し、IQ(知能指数)を計算します。
ご本人の特徴を整理したり、支援のためのヒントを得たりするのに役立ちます。

発達検査:
PARS、ADHD-RS、
CAARS、
LDI-Rなど

お子様の発達特性の有無や程度について、客観的に捉えることを目的とした検査です。ご本人や保護者様、学校の先生などにご回答いただくチェックリストです。

その他
チェックリスト:
CBCL、TRFなど

保護者様、学校の先生などお子様以外にご回答いただくチェックリスト、幼少期の様子についてお伺いする検査などがございます。

児童思春期外来費用

当院では、各種健康保険を取り扱っております。初診時は、ご本人の来院が原則になります。

初診

高校生以下の方は、保護者同伴でいらしてください。医師診察予約枠を設定しております。来院前に、WEB問診に入力してから、来ていただけるようにお願い致します。
当院では、患者様やご家族のお話を丁寧にお聞きし、治療の選択肢の説明など、十分な時間を確保するために、予約制をとっております。
通常診察料(保険診療)とは別に、厚生労働省が定める選定療養に基づく予約料8,800円(税込)のお支払いをお願いいしております。

家族相談

家族相談の際、ご本人が来院される場合は、30分枠の初診扱いとし、ご本人のカルテを作成させていただきます。
※ご本人が18歳以下の場合は、初診予約を取る際に8,800円(税込)の選定療育費が別途自費で発生致します。
※初診の30分の時間は主にご本人の診察のための時間となります。
※ご本人についてのご家族からの悩み相談や対応のアドバイスについてはカルテ作成のうえでカウンセリングを受けていただくことを推奨しています。

2回目以降の診察・再診

当院での再診枠は5~10分程度で設定しております。精神療法、薬物療法などは、通常の保険診察料のみの支払いになります。高校生以上はお一人での受診も可能です。
診察とは別に心理療法や心理検査などが必要と判断した場合、診察枠の確保のため、厚生労働省が定める選定療養に基づく予約料を頂戴しております。

診察の間隔

症状によっても異なります。薬を出した場合は、1週間後や2週後ということもあります。安定してきたら間隔がのびていくこともあります。

心理検査

一部の心理検査の実施料と心理検査レポート文書作成料は自費で頂戴しております。

自費診療のご希望の方

家族による医療相談、また事情があり、本人が来院できない場合や、「保険証を使いたくない」「セカンドオピニオンとして意見をききたい」などの理由で自由診療を希望する場合は、自由診療の枠を設けております。こちらは、事前に予約が必要です。本人が一度も来院できず、家族だけで来院される場合は、保険診療が適応されず、家族相談になります。

キャンセルポリシー

キャンセルポリシー(事前支払いのある予約のみ適応)

当院では、18歳以下対象の児童思春期外来に関しまして、初診予約を取る際に、通常診察料(保険診療)とは別に、厚生労働省が定める選定療養に基づく予約料8,800円(税込)のお支払いをお願いいしておりますが、予約のキャンセル・変更が発生することで、予約枠が無駄になり、ご希望よりも予約が入れられるのが先になってしまうケース出てきてしまうことを懸念しております。急なご予約変更やキャンセル、無断キャンセル、遅刻等がありますと、職員の人員の確保の問題、他の患者様にご迷惑がかかることになってしまいます。 そのような事態を少しでも減らす為の取り組みの一環として、予約のキャンセルポリシーを設定させていただいております。  

  • 18歳以下の児童思春期外来の初診予約、カウンセリング、心理・発達検査、家族相談、連携相談などに当てはまります。
  • 他の自費診療については、事前支払いの仮決済の状態から当日に本決済となります。

児童思春期外来の初診予約のキャンセル・変更

予約の変更は人員配置の点を考慮して3営業日前より前に必ず変更のご連絡をお願いします。
それより後の変更は不可で、キャンセル料として仮決済分の8,800円(税込)を当日徴収させていただきます。

遅刻の場合の取り扱いについて

予約時刻を15分以上過ぎた時点でご来院いただけていない場合、予定された問診や診察等が困難となったり、他の患者様を長時間待たせるなどのご迷惑がかかってしまうため、連絡の有無に関わらずキャンセル扱いとなります。
キャンセル料の請求は、次回来院時に行わせていただきます。

免責事項

  • 予約日における自然災害や当院の事情等、患者様の責任に帰さない事由によるキャンセル・変更の場合は、キャンセル料は請求いたしません。
  • こちらの都合で変更になる場合は、当然キャンセルポリシーは適応とならず、別の日に日程調整となります。その場合は本決済の日も同日に変更となります。