- 生きづらさを感じたら
「大人の発達外来」へ - 大人の発達障害について
- 大人の発達障害をセルフチェック
- 当院が診療する大人の発達障害
- 大人の発達障害外来で行う
検査と診断 - 診断がつかない「グレーゾーン」の生きづらさ
- 大人の発達障害外来で行う治療
生きづらさを感じたら
「大人の発達外来」へ
大人の発達外来では、成人(18歳以上)の発達障害についての診断と治療を行います。
職場でのコミュニケーションがうまくいかない、仕事のミスが続く、一般的には考えにくいミスや勘違いをしてしまう、口頭での説明・注意を受けながらメモを取ることが難しい、メールを読む・書くのに長い時間がかかるといったことで働きづらさ・生きづらさを感じている方は、お気軽に当院にご相談ください。
大人の発達障害は、単に「仕事ができない」「人付き合いが下手」といった片付けられ方をして、受診に至っていないケースが少なくありません。発達障害の種類、傾向を理解し、医師と相談して対策を講じることで、働きづらさ・生きづらさを軽減できる可能性があります。
患者様、ご家族様が今後、少しでも安心して毎日を送れるよう、誠心誠意サポートをさせていただきます。
大人の発達障害について
発達障害は、先天的な脳機能の障害(発達の偏り)によって生じます。この点は、大人の発達障害も、子どもの発達障害も変わりません。ご両親の育て方、ご自身の努力量などの環境は関係ないのです。
この世に生を受けた赤ちゃんは、まず家庭という社会を持ちます。その後、幼稚園や保育所、小学校・中学校・高校と進みながら、少しずつ広い社会を知っていきますが、それが急拡大するのが、働き始めるタイミングです。
仕事では責任が求められることから、周囲の目もこれまでより厳しくなります。学生時代は「変わっている・面白い」という印象で済まされていた特徴や傾向が、「ミスが多い・コミュニケーションをとれない」と厳しく評価されるのです。まわりから、あるいはご自身で責めてしまうことで強いストレスにさいなまれ、二次的にうつ病を発症してしまう・休職や退職に追い込まれるといったこともあります。
一般社会に出て生活をする成人に見られる大人の発達障害は、小さな社会の中で守られる子どもの発達障害と比べて、大きな悩み・問題になりやすいと言うことができます。気になる方は、お早めに当院にご相談ください。
発達障害における
二次的障害とは
発達障害の特性を持つ方は、生きづらさやしんどさに加えて、自尊感情の低下などからさまざまな精神的不調を経験することがよくあります。発達特性による支障(一次障害)だけでも辛いのにもかかわらず、さらなる辛さが加わっていってしまいます。自分にとって苦手なことを、無理して周りと同じように頑張っている状況の中、さらに限界を超えた高い水準を求められることで、適応できなくなっていきます。できないことから注意や叱責を受けたり、できない自分を責めたりすることが繰り返されることで、傷つき体験が積み重なり、自尊感情が損なわれてしまいます。その結果、不登校やひきこもり、暴力、自傷行為などの不適応行動や、抑うつや強い不安など精神症状や他の精神疾患を伴うようになってしまいます。これらの行動や症状をニ次的障害といいます。
大人の発達障害を
セルフチェック
- 職場などでスムーズにコミュニケ―ションをとることが難しい
- 臨機応変な対応ができない
- 「空気を読めない」と言われることがある
- ケアレスミス、他の人がしない勘違いが多い
- 単調な仕事に集中できない、立ち上がってしまう
- メールを読む、書くことに長い時間がかかる
- 読み・書き・計算など特定の分野がひどく苦手
当院が診療する
大人の発達障害
自閉スペクトラム症(ASD)
人とのコミュニケーション、自分の意思を伝えること、相手の気持ちや立場を考慮することが難しいという特徴を持ちます。また、特定のものごとへの強いこだわり、感覚の過敏なども見られます。
- 人と関わることが苦手
- コミュニケーションをとるのが苦手
- 臨機応変に動くのが苦手
- 場の空気を感じ取るのが苦手
- こだわりが強く、周囲と異なる言動が多い
注意欠如・多動症(ADHD)
不注意、多動性、衝動性が認められる発達障害です。約束を忘れたり、時間(締め切り)を守れなかったりと、仕事上での大きなミスにつながりやすい傾向があります。成人のうち、2~10%がADHDの診断基準に当てはまると言われています。
- ケアレスミスが多い
- 何かをせずにいられない、過度に活動的になる
- 単調な作業をする際、集中力が続かず、不注意なミスが増える
- 雑音や外的刺激があると気が散る
- どこかに物を置き忘れることが多々ある
- 順番待ち、会議などの着席していなければならない状態が苦手
学習障害(LD)
読み・書き・計算など、特定の分野において困難が生じます。知的水準には問題がないため、すべての勉強や仕事が苦手というわけではありません。小学校の頃から苦手な分野がある、努力をしてもまわりの水準に追いつけないといった場合には、学習障害を疑いましょう。
- 文章を読むとき、単語を読み間違えたり正確でないことが多い
- 発音を正確に行うことが苦手
- 文章の読み書きが苦手
- 文法や句読点の使い方が正しく行えない
- 数字の概念、計算を学ぶことが苦手
- 数値を使って推論する、説明することが苦手
大人の発達障害外来で行う
検査と診断
大人の発達障害の診断では、現在現れている特徴や傾向が、幼少期から現れていたかを知ることが大切になります。受診の際にご両親に付き添っていただいたり、母子手帳・育児日記・通知表・連絡帳などの資料をお持ちになっていただくと、正確な診断に役立ちます。可能な範囲でご協力ください。
自閉スペクトラム症(ASD)
気になるご自身の特徴、日常生活でのお困り事、生育歴や職歴、生活環境、既往歴などを把握した上で、総合的に診断します。検査としては、AQ-J、WAIS-Ⅳなどの検査を行います。
注意欠如・多動症(ADHD)
特徴や日常生活でのお困り事、生育歴、職歴、生活環境、既往歴などを問診でお伺いした上で、CAARS、WAIS-Ⅳなどの検査を行い、総合的に診断します。すぐに診断がつくとは限らず、複数回の受診が必要になることもあります。
学習障害(LD)
特徴、日常生活でのお困り事、生育歴・職歴、生活環境、既往歴、これまでの学習状況や成績などをお伺いした上で、DSM-5(精神疾患の診断・統計マニュアル第5版)という診断基準をもとに、診断します。
診断がつかない
「グレーゾーン」の
生きづらさ
グレーゾーンとは、白とも黒ともつかない領域のことを指します。
発達障害においては、「発達障害の特徴や症状が認められるけれど、診断基準は満たさない」という意味となります。ただ、必ずしも“特徴や症状が軽い”、“生きづらさがない”ということではありません。発達障害の診断を受けた人よりも特徴や症状の程度が重い、ひどく生きづらいということも往々にしてあります。
たとえ発達障害の診断がなされなくても、その特徴を医師の助けを借りながら把握・理解し、対策を講じれば、生きづらさや働きづらさを軽減することが可能です。グレーゾーンと言われたから通院をやめてしまった、諦めているといった方がいらっしゃいましたら、ぜひ一度、当院にご相談ください。
大人の発達障害外来で
行う治療
発達障害の治療は、精神症状がどこからきているのかによって治療方針の立て方が異なります。実際のところは、心の不調だけ、脳の不調だけということはなく、適宜組み合わせ、重点を置くところをその都度考慮しながら治療を行います。精神的不調をもたらすストレスへの介入も行います。当然、背景に発達障害や発達特性が隠れていないかどうかも確認し対応いたします。
当クリニックでは、初診時に問診、診察、身体検査や心理発達検査等を実施し、症状の程度や質などから診断とアセスメントを行い、それをもとにより患者様それぞれの状態や状況に合う治療を一緒に考え、患者様の納得と同意のもと治療を開始していきます。患者様が精神的不調から回復できるようお手伝いをさせていただきます。